日本のシミュレーションやCGの基礎研究の水準は、諸外国と比較しても非常に高く、世界をリードするオリジナリティのある研究がなされています。その一方で、それらの研究成果を産業界に展開していく「ソフトウェア製品」の開発・販売に関しては、日本の国際競争力は驚くほど低いのが実情です。本講演では、自動車・化学などの製造業や土石流・津波などの災害対策向けのシミュレーションとその可視化を通して、大学で開発された基礎技術を産業に応用した事例やその際に明らかになった課題についてお話したいと思います。また今後、日本のソフトウェア産業の国際競争力を向上させるにあたって有用と思われる取組みについてもご紹介したいと思います。
講演者について (about the speaker):
2003年 東京大学大学院 工学系研究科 システム量子工学専攻修了。博士
(工学)。 同年4月 東京大学 生産技術研究所 計算科学技術連携研究セン
ターにて産学官連携研究員として、文部科学省ITプログラム「戦略的基盤ソフト
ウェアの開発」プロジェクトにおいて、数値流体力学に関するプログラム開発に
携わる。また、越塚誠一東大助教授(当時)とともに、シミュレーションとCGの
融合を目指した研究会「ビジュアル・エンジニアリング研究会」を立ち上げ幹事
を務める。2004年 10月 同プロジェクトおよび同研究会で研究開発された成果を
もとに、大学発ベンチャー企業であるプロメテック・ソフトウェア株式会社を設
立し、代表取締役社長兼 CEOに就任。
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