11.2 3原色
11.2.1 色光の三原色と加法混色
白色光をプリズムで分光すると虹の色を呈するが、これを逆にして虹の色を混ぜ合わせると白色光になる。このように、混ぜると明るく白くなる混色を加法混色といい、虹の色のようにもととなる色を原色という(図11.1)。
見かけの色が白になるためには虹のすべての色を混合する必要はなく、最低限、赤・緑・青があればよいので、これを色光の三原色という。色をR,G,Bの3原色を基本に考えるモデルをRGBカラーモデルという。
3原色の加法混色によって作られる色は、3次元の直交座標系を用いてR,G,Bのベクトルで表わすことができる。図11.2にRGB色立方体を示す。この立方体の中の色すべてがデイスプレイに表示することができる。たとえば、(R, G, B)が(1, 0, 0)が赤、(0, 1, 0)が緑、(1, 1, 0)が黄色、(1, 1, 1)が白である。色をフレームバッファに記憶するには、各色8ビットの場合、256段階の階調が記憶される。各色で256段階あるので、トータルの色数としては1600万以上(= )が表現できる。
図11.1: 3原色
図11.2: RGB色立体
11.2.2 色材の三原色と減法混色
インクや絵の具のような色材の三原色は、色光の場合と異なり、C(シアン:青緑)・M(マゼンタ:赤紫)・Y(イエロー:黄)である。この三原色を混合すると黒になり、これを減法混色という。(図11.1参照)
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11.3 3属性カラーモデル
色は心理的な3つの属性で説明される。色相(色味)、明度(明るさ)、彩度(鮮やかさ)である。これらを、色の3属性という。また、この表現法をHLSカラーモデルという。図11.3にHLSモデルを示す。
図11.3: HLSカラーモデル
(1) 有彩色・無彩色・補色
赤や緑のように色味をもった色を有彩色、これに対して白、灰、黒のように色味のないものを無彩色という。2つの有彩色を混色し無彩色になる場合、これらの有彩色はたがいに補色の関係にあり、一方を他方の補色とよぶ。
(2) 色の3属性とマンセルの表色系
前述のように、色は心理的な3つの属性で説明される。色相(色味)、明度(明るさ)、彩度(鮮やかさ)である。これを体系的に表示したものがマンセル(A.H.Munsell)の表色系である。これは、10個のアルファベット色名を10分割した100の色相環(hue)、白を10とし黒を0とした11段階の明度(value)、無彩色を0として各色相・明度で異なる彩度(chroma)を、おのおの感覚的に等間隔になるように並べたものである。たとえば、"5PB 6/3"のように表記し、これは色相5PB、明度6、彩度3の淡い青紫を表している。表色系にはこのほかに、オストワルト(W.Ostwalt)の表色系(最高彩度の色相にあたる純色と白量、黒量の組成で表した体系)、C.I.E.の表色系がある。
(3) 物体の色
物体の色は、入射光、反射光、透過光によって決まり、これらの色は光源の色と物体の性質に依存する。たとえば、赤に対する反射率の高い物体に白い光を照射すると、反射光は赤色となる。また、可視域の波長に対して一様な反射率をもった物体 (普段白く見える物体)に青色の光を照射すると青色となる。
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11.4 色の知覚
形の知覚と同じように、提示した色と知覚される色は必ずしも一致せず、次のような現象がある。
(a) 対比
隣の色の影響を受ける現象で、2つの色を同時に(同時対比)、あるいは時間をずらして提示すると、2つの色の差を際だたせる方向に、色相(色相対比)・明度(明度対比)・彩度(彩度対比)がずれて知覚される。
(b) 順応
鮮やかな色を凝視していると、次第にその鮮やかさを感じなくなる現象です。また、異なる演色性の光源で見ても次第に違和感がなくなる現象も順応である。
(c) 恒常
ある色のものを、次第に変わる光源のもとで見ていても、そのものの色が変わっていくようには知覚されない現象のことをいう。
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