(4)リフレクションマッピング
金属のような表面の滑らかなもの、すなわち鏡面反射成分の強い面には他の物体(周囲環境の様々な物体)が映り込みます。これを正確に表現するには、レイトレーシングアルゴリズムを使わなくてはなりません。しかし、この方法は時間がかかるので、映り込みを簡単に行う方法が リフレクションマッピング(reflection mapping)または環境マッピング(enviroment apping)と言われます。この方法では、対象となる物体を囲む1つの大きな仮想球(または仮想立方体)を考えます。レイトレーシングと同様に、まず視線と交差する物体の交点を求め、その点からの反射ベクトルを延ばし、仮想球との交点を求めます。そして、その交点での仮想球の色を物体の色としてマッピングします。仮想球には、周囲の風景を予め求め、テクスチャとしてマッピングされているものとします。風景画像はペイントシステムによって描かれることもあります。

図5.30: 仮想立方体を用いたリフレクションマッピング
簡単のため、図5.30に示すように、仮想立方体の作成を考えます。映り込みを計算したい物体の中心(図中の点O)を視点と考えて、前、後、左、右、上、下の平面をスクリーンと考えて、隠面消去法によりレンダリングします。こうして得られた画像を仮想立方体の各面のテクスチャとして記憶しておきます。物体中心以外の点から見た場合、当然異なった画像となるが(図5.30のRとR'との差)、こうした近似により計算量を減少さすことができます。また、透明物体を通して屈折して見えるのを疑似的に表現するための方法はリフラクションマッピングといわれています。