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 透視投影だけでは、投影された面すべてが描かれ、面同士が重なる。人間の目に映るのは、そのうちの最も手前の稜線(線画の場合)あるいは面(陰影表示の場合)である。与えられた視点に対して、不可視の線分を検出して消去する方法を隠線消去(hidden line removal)と言う。また、不可視の面を検出して消去する方法を隠面消去(hidden surface removal)と言う。これらの判定のための基本的な性質を述べる。


4.1 可視性判定の基礎

 1個の多面体の場合は、次の性質がある。


図4.1: 面の向き

 まず、面の可視性については、面の法線ベクトル(計算式は付録参照)と視線との角が鋭角の面は見える可能性があり、鈍角のものは不可視である。これらの面はそれぞれ表の面(front face) および裏の面(back face)といわれる。(付録2参照)。図4.1の例では、面1が表の面で(< 90°)、面2が裏の面(> 90°)である。透視変換後の座標で多面体が与えられているときは、面の法線のz成分の符合で判定することもできる(判定式は付録参照)。稜線についてみると、

 (i) 表の面に属す稜線は可視であるが、二つの裏の面の共通の稜線は不可視である。図4.1の例では、稜線は表の面同士の稜線なので可視、稜線は裏の面同士の稜線であるから不可視である。

 (ii) 表の面と裏の面との稜線のつながりを輪郭線という(図4.2の太線参照)。凸多面体の輪郭線は一つで、かつ凸多角形である(図4.2(a)参照)。

 (iii) 表と裏の面の角度が凸の場合の稜線は一般に可視(図4.2(b)の太線)であるが、凹稜の場合は不可視(図4.2の太破線)である。複数個の多面体が存在し、それらが投影面上で重ならないなら、上記の性質のみで可視性の判定ができる。多面体同士が重なるかどうかは それらの輪郭線が重なるかどうかで判定することができる。(文献1参照)。

図4.2
図4.2:輪郭線

 複数の多面体が重なり合う場合を含めて考えると、処理は複雑であり、次で述べる種々の方法がある。なお、これらの方法では、一般に裏の面は隠面処理の前に取り除かれる。


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