5.6.2 ラディオシティ方程式
図5.24のような室内を考えてみよう。室内の各部での照度は、光源からの直射光成分と、壁等から反射された間接光からなります。
図5.24: 相互反射の計算のためのエレメント分割
この間接光までを含めて考える照明計算を大局照明(global illumination)といいます。この計算は、次のようにします。室内の構成面は幾つかのエレメント(面素)に分割され、各エレメント間のエネルギーの授受を計算します。光源から放射された光は何回か反射された後、最終的に各エレメントの明るさはある値となります。この計算の際、エレメント間のエネルギーの授受の割合を決めるのがフォームファクタです。
図5.25: エレメント間のフォームファクター
図5.25は図5.24のうち2つのエレメントの関係を示したものです。面積のエレメントiから面積のエレメントjへのフォームファクターをとすると、エレメントiでの輝度(またはラディオシティ)は、次式により表わします。
(5.13)
ここで、は反射率、は放射光(一般に直射光による輝度)、はエレメントjの輝度、nはエレメント数です。この式は、エレメントiでの輝度は、他の総てのエレメントからの光の総和に反射率を乗じたものとして得られることを表わしています。各エレメントの輝度は、式5.13から導かれるn元連立方程式を解くことにより求まります。すなわち、次式によって求めます。
(5.14)
この式は、基本的にはガウス・ザイデル法等により解くことができます。フォームファクターとは、エレメントiの総ての点から放射された エネルギがエレメントjに受け取られる率を意味し、次式により求まります(図5.25参照)。
(5.15)
ここで、,,の関係がある。室内に例えば机があるように、一般にエレメント間に障害物(他のエレメント)が存在することが多いです。これを考慮するため、次のようにフォームファクターを修正します。
(5.16)
すなわち、エレメント間に障害物があるかどうかを示す、を導入します。これは、障害物が存在する場合0で、存在しない場合1です。言い替えると、は、あるエレメントから他のエレメントが可視であるかどうかにより決ます。すなわち、隠面消去の判定が必要となります。