8.1.1 入力装置
入力装置としては、画像をラスタデータとして入力する画像入力装置、2次元の図形等の座標値を入力する図形入力装置 および3次元の立体を入力する装置などがある。
(i) 画像入力装置
代表的な入力装置には次の2種類がある。
(a) TVカメラ
カメラレンズを通してイメージデータをコンピュータに入力する装置である。 カメラで撮影できるものであれば、 読み込む対象が立体物でも扱えるという特徴があるが、 精度が撮影環境に依存する。
(b) イメージスキャナ(image scanner)
写真などの2次元の対象物を取り込む装置である (図8.1参照)。現在もっとも普及している画像入力装置である。これは、写真や印刷物などの原稿をセンサで読み込み、画像を細かい点(ドット)に分解してその情報をコンピュータに入力するものである。この分解する単位をスキャナの解像度といい、1インチ当たりのドット数DPI(Dot per Inch)で表す。読み取り方式はCCDイメージセンサを使ったものが多く、200DPI程度から高精度な1000DPI以上のものもある。
図8.1: イメージスキャナ
(ii) 図形入力装置
代表的なものにディジタイザ、タブレット(tablet)、マウス、ジョイスティック、トラックボール、ライトペンなどがある。
(a) ディジタイザ、タブレット
原理はどちらも同じで、2次元の図形を、スタイラスペン(stylus pen)とよばれる座標を検出するポインティング装置を使って、絶対座標で読み取る。比較的大型のものをディジタイザ、小型のものをタブレットとよぶのが一般的である(図8.2参照)。座標を検出する方式としては、電磁誘導方式、磁歪方式、静電結合方式、光学方式などがあるが、現在は電磁誘導方式がもっとも多くなっている。
図8.2: タブレット
(b) マウス
2次元の座標を入力する装置であるが、相対座標で読み取られる。裏側に直径2cm程度の球が入っていて、平板上でマウスを移動することによって球が回転し座標が検出される機械方式と、マウスの裏側に光センサがあり、パッドという光反射板上で動かすことによって座標を検出するオプティカル方式がある。マウスはディジタイザに比べて安価なため、 パソコンなどでの入力装置では マウスのほうがよく使われている。
(iii) 立体入力装置
対象物の3次元座標を測定してコンピュータにX,Y,Z座標を取り込む装置であり、対象物の表面をスタイラスペンでなぞってデータを入力する方式もあるが、最近はレーザなどを立体物に照射して非接触で測定する方式が多くなっている。また、磁気センサを利用して非金属の立体物を測定する3SPACEとよばれるディジタイザ、手袋に取り付けられた磁気センサと光ファイバにより手の動きを検出するデータグローブ(data glove)とよばれる製品も実用化されている。
8.1.2 出力装置
コンピュータ内の図形、画像を出力する装置で、プロッタ、ハードコピー装置、ディスプレイなどが代表的なものとしてあげられる。
(i) プロッタ
用紙にペンで直接図形を描かせる装置で、作図用紙を平らな面に置いて、モータでペンを X,Y方向に移動する方式と、紙を一方向に動かしペンを左右に動かすペーパームービング方式があります。(図1.7.4、図1.7.5)。現在、プロッタはCAD図面の出力として多く使われている。
(ii) ハードコピー装置
CGの急速な発展により、カラーの高画質の出力が要求されてきたため、多くのハードコピー装置が発表されている。おもな方式として、静電方式、レーザ方式、溶融型と昇華型の熱転写方式、インクジェット(ink jet)方式、銀塩写真方式がある。静電方式はペンレスプロッタとして早くから実用化されている技術で、誘電層をコーティングした専用紙に電荷をかけ、そこにトナーを付着させて印字する方式である。A0の大きさまで印刷できるものもあり、CG画像のコピーだけでなくCAD図面の出力にもよく用いられている。レーザ方式はレーザ光によって感光ドラム上に電荷を発生させ、トナーを付着させた後、用紙に転写する方式である。現在のところA3程度の出力までであるが、普通紙が使えるという利点をもっている。熱転写方式は、サーマルヘッドで加熱して用紙に印刷する方法で、昇華型では中間調の微妙なコントロールが可能で 写真に近いイメージが得られる。インクジェットはノズルヘッドからインク粒子を用紙に噴射して印刷する方式である。銀塩写真方式の代表的なものとしてはフィルムレコーダがある。これはカメラで使う銀塩写真フィルムを記録媒体として使うもので、CRTの画像を記録する。上記のハードコピー装置に比べて色の再現性がよいため、装置の低価格化とともにCGの分野で急速に普及しつつある。
(iii) ディスプレイ
(a) 陰極線管
コンピュータ内の画像、図形を陰極線管(CRT: Cathode Ray Tube)上に表示する装置で、ほとんどのCGシステムはこの装置を備えている。このCRTに図形を描くためには電子ビームを移動する。この移動の方式に、ランダムスキャン方式と ラスタスキャン方式がある。ランダムスキャン型ディスプレイでは、電子ビームは与えられた座標の順に移動する。一方、最近広く利用されているラスタスキャン方式は、走査線上を電子ビームが移動するもので、表示分解能はパソコンなどで使われている640×400画素程度のものから2048×2048画素以上の高解像度のものまである。
(b) フレームバッファメモリ
ディスプレイ装置は、図形表示コマンドをディスプレイプロセッサ(スキャンコンバータ)によって走査変換し、スクリーン上の画素に対応した記憶装置であるフレームバッファに記憶される。このデータはディスプレイコントローラによってスクリーンに表示される。フレームバッファメモリの低価格化により、同時に表示できる色も256色から1670万色まで扱えるものまで広がってきた。現在はCRTが主役となっているが、最近では液晶パネルなどのフラットパネルディスプレイが採用されはじめている。
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