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4.4 レイトレーシング法

 レイトレーシング法は光線追跡法または視線探索法とも呼ばれ、各画素ごとに視線を発生し、すべての面について、これと最初に交わるものを探索する方法である(図4.4参照)。

図4.4
図4.4:レイトレーシング

 したがって、アルゴリズムが極めて簡単な上に、曲面や鏡面反射、透過、屈折効果など、光の複雑な現象の表現に向いているので注目を浴びている。レイトレーシングのアルゴリズムは次の手順で行う。

 (1) 視線は、スクリーン上のある画素を通って、物体方向に向かう。この視線と交差する物体を調べる。

 (2) 交差する物体が存在するなら、視線と物体との交点を求める。交差する物体が複数ある場合には、すべての物体について交点を求める。

 (3) 視線と交差する物体の交点までの距離を求め、最も視点に近い物体を抽出する(隠面消去したことになる)。

 (4) 可視物体の輝度の計算をする。この際、光源とその点を結ぶ線分と交差する物体を調べて影の有無を調べる。

 (5) 反射・屈折がある物体なら、反射方向、屈折方向を求め、これらの方向を視線とみなして(2),(3)の処理を行い、屈折・反射して見える物体を抽出する。

以上の処理をスクリーン上の総ての画素について行う。ただし、この方法は膨大な計算時間が欠点であるが、高品質の画像生成に適するため、多くの研究発表があり、交点を見付けるためのアルゴリズムや、交点テスト回数の軽減策などが開発されている。


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