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6.4 スキャンライン法に適した方法

 走査線単位に隠面消去を行うスキャンライン法において、幾つかのアンチ・エリアシング法があるが、以下に幾つかを紹介する。

(1) 画素で多角形をクリップする方法

 画素を正方形と考え、画素と重なる図形を画素で切取り、その領域の面積を求め、その面積に比例した輝度をその画素に与える方法である。なお、幾つかの図形が1画素に重なる場合は、それらの可視領域を判定する必要がある。この操作は走査線単位に処理される。以上の方法とは反対に、図形の方で画素を切取り、残った画素の領域の面積から輝度を求める方法もある。

(2) 仮想走査線を利用する方法

 仮想的な走査線を追加して、実質的走査線数を増加させ、各画素内の図形の面積をよりよい精度で近似する方法である。画素を垂直方向に等分割する仮想的走査線を考える。これをサブスキャンラインと呼ぶことにする。その分割数をnとする。

図6.5
図6.5:仮想走査線によるアンチエリアシング

 図6.5において、面の画素内の面積は台形積分により簡単に求めることができる。サブスキャンラインと面との交差区間の長さをとすると、面の面積は、

  (6.1)

となる。1画素内にm個の面が存在する場合、各面の輝度をとすると、画素の輝度Iは、

  (6.2)

となる。したがって、次式により画素の色が求まる。

  (6.3)

 ここで、

  (6.4)

 すなわち、まず、各サブスキャンライン上において、1画素内に占める可視区間の長さを求め、それらの長さと面の輝度から、サブスキャンラインでの色を求めて、各サブスキャンラインに対する重みを乗じて加算すればよい。図6.1、および6.2はこの方法による計算例である。


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