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西田は1970年来,40年間もの研究を行っており、研究分野(右
図参照)はかなり
広いがその中でもShading Model関係で、特にradiosityに関する研究を紹介する。radiosity法は、ray
tracingとならび、CGにおけるリアリティを表現する方法として知られるようになった。1985年にSIGGRAPHでコーネル大と同時発表したと
されているが、実際は日本で1年半も前にradiosity法を発表した。 他の手法;< Radiosity | Soft shadow | Bezier Clipping | Light Scattering | Natural phenomena | Fluid dynamics | NPR | CGhistry, Topics > |
研究分野 |
Radiosityとは |
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壁などからの相互反射光を考慮することで、リアルな陰影を表現する技術。
特徴; •影が半影(ぼやけた影)を伴う。 •直射光が届かない部分も、相互反射による間接光により照射される。 •反射面の色が隣接する面に影響する iカラーブリーデイングと呼ばれる) 対象としては、平面で構成されるシーンのみでなく曲面も含むシーン、さらには点集合で構成される面に対する相互反射の計算も重要である。また、面の反射特 性に関して、完全拡散面か鏡面反射面かで手法が異なる。完全拡散面の場合は一度相互反射成分を計算しておけば、視点(カメラ位置)を再計算しないで変更で きるメリットがある。 手法としては、面を小さな面素に分割して有限要素法的に連立方程式を解く方法が基本であるが、パストレーシング法、モンテカルロ法、フォトントマップ法な どで相互反射光を計算する。 |
Shading modelは多くの要素からなる。上の図で黄色の要素は西田がパイオニアの1人である。光源も重要であるが、面同志の間での相互反射光も無視できない。こ の間接光の計算方法はRadiosity法と呼ばれる。 西田の論文を紹介してる書籍 -Hoschk, Lasser, "Fundamentals of Computer Aided Geometric Design", AK Peters, (1989) -A.Watt, " Fundamentals of Three-Dimensional Computer Graphics", Addison-wesley, (1989) -D.Rogers, R.Earnshaw "Computer Graphics Techniques theory and Practice", Springer-Verlag(198? ) -Foly, Van Dam, Feiner, Huges, "Computer Graphics Principles and Practice 2nd ed.", Addison-Wesley Pub. Co. (1994) -Foly, Van Dam, Feiner, Huges, Phillips, "Introduction to Computer Graphics", Addison-Wesley Pub. Co. (1990) -A.Watt, M.Watt,"Advanced Animation and Rendering Techniques", Addison Wseley, (1992) -Watt, "3D Computer Graphics (2nd ed.)", Addison-wesley, (1993) -M.Cohen, Wallace, "Radiosity and realistic Image synthesis", Accademic Press, Inc.(1993) -F.Sillion, C. Puech, "Radiosity and Global Illumination", Morgan Kaufmann Pub.(1994) -I.Ashdown, " Radiosity: A Programmer's Perspective", WILEY (1994) -A.Glassner "Principles of Digital Image Synthesis" Vol.1,2 Morgan Kaufman Inc., (1995) -Foly, Van Dam,etc., "Introduction to Computer Graphics", Addison Wesle Pub. (1997) -P. Dutre, P. Bekaert, K. Bala, "Advanced Global Illumination", A K Peters (2003) |
誰が Radiosity法 のパイオニアか |
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照明工学の本に、障害物のない場合の相互反射の計算法は掲載されてい
た。障害物の
影響
を考慮して、実用的な方法としてSIGGRAPH 1985で西田が発表した。 上のスライド(実際は英文)は、クーンズ賞の受賞講演(LAのコンベンションセンター)の際に、Radiosityは日本で1984年春に既に発表してい たのであり、これが世界最初の発表であることを強調したものである。 これは照明学会の全国大会での発表で、このころはまだワープロはないので手書きである。発表原稿はここを 参照ください。 照明学会全国大会(1984-3)、および研究会(初めてのGCAD研究会;1984-9)で発表した。日本での研究会で発表した際は、そこまでの計算が 必要かと否定 的であったが、SIGGRAPHでの発表時は絶賛された。日本では革新的なものは、なかなか評価されない傾向があるのが残念である。 コーネル大が最初にRadiosity法を開発したとされているが、コーネル大のCohen(SIGGRAPHで、私と同じセッションで発表)が書いた書 籍の中で、1984年に日本の西田、およびコーネル大が開発したと書いている。 相互反射の計算は1950年代から挑戦されていたが、影(障害物)を考慮できず簡単な部屋しかできず、実用には程遠いものであった。CG分野の知識を利用 し影を考慮して初めて有効な方法となった。コーネル大は熱力学の分野から発展させ、独立に西田は照明工学の分野から発展させた。 コーネル大は熱工学分野の理論を導入し、 Radiosity(単位面積当たりの放射)と彼は命名した。 ラジオシティ法はすでに発表されていたが、Kajiyaは、輝度の計算式を定式化しレンダリング方程式と呼んだ。 部屋を幾つかの面素に分割し、各要素間のエネルギーの授受を連立方程式を用いて解いた。 フォームファクター(形態係数)は面素間のエネルギーの授受の割合を意味するもので、障害物により光が遮切られる効果もふくまれる。 コーネル大の方法はフォームファクターを効率的にも求める方法としてヘミキューブ法を提唱した。この方法はハードウエアー化できるメリットがある。ただ精 度が十分でないため現在では使用されてない。 世界で最初のradiosityの画像。下部は色コードによる数値(ここでは照明の単位のルックス jを表現している。 窓から光が入るが、窓を完全拡散の面光源とみなして相互反射を計算した。この画像では、微妙な陰影の変化、特に半影の効果が相互反射の計算により得られ た。実際に計算した計算機室をモデルとして使った。 |
CGの歴史上重要な技術の開発と受賞者(SIGGRAPH S.A. Coons賞など)との関係。Radiosityは1985年にSIGGRAPHで発表された。 西田らのradiosty関連の論文; -T. Nishita and E. Nakamae, "Continuous Tone Representation of Three-Dimensional Objects Taking Account of Shadows and Interreflection," Computer Graphics, Vol.19, No.3,1985-7, pp.23-30. (320以上の論文が引用) -T. Nishita, E. Nakamae, "A New Radiosity Approach Using Area Sampling for Parametric Patches," Computer Graphics Forum, Vol.12, No.3, 1993, pp.385-393 -Yonghao Yue, K. Iwasaki, Bing-Yu Chen, Y. Dobashi, T. Nishita, "Unbiased, Adaptive Stochastic Sampling for Rendering Inhomogeneous Participating Media" ACM Transactions on Graphics (Proc. SIGGRAPH Asia 2010), Vol.29, No.5, Article 177, 2010-12 -Yonghao Yue, Kei Iwasaki, Chen Bing-Yu, Yoshinori Dobashi, T. Nishita "Toward Optimal Space Partitioning for Unbiased, Adaptive Free Path Sampling of Inhomogeneous Participating Media," Computer Graphics Forum (Pacific Graphics 2011), Vol.30, No.3, pp.1911-1919, 2011-9 -Y. Yue, K. Iwasaki, Bing-Yu Chen, Y. Dobashi, T. Nishita, "Interactive Rendering of Interior Scenes with Dynamic Environment Illumination", Computer Graphics Forum, Computer Graphics Forum, Vol. 28, No. 7, (Pacific Graphics 2009), p.1935 - p.1944, 2009-10 -Yonghao Yue, K. Iwasaki, Y. Dobashi, T. Nishita, "Global Illumination for Interactive Lighting Design using Light Paths Precomputation and Hierarchical Histogram Estimation," Proc. of Pacific Graphics 2007, pp.87-96, 2007-10 -Y. Dobashi, T. Yamamoto, T. Nishita, "Radiosity for Point-Sampled Geometry," Proceedings of IEEE 2004 Pacific Conference on Computer Graphics and Applications (PG004), pp.152-159, 2004-10 サーベイ論文; -Tomoyuki Nishita, Hisanari Otsu, "A Survey on Recent Developments in Global Illumination Techniques," IIEEJ Transactions on Image Electronics and Visual Computing Vol.2, No.1, pp.11-24, 2014-6 (pdf) 各種の光源モデルの研究から相互反射(右下図)の研究への移行 Radiosity法を発表したコーネル大のCohen氏(現在マイクロソフト)と西田 コーネル大のGreenberg教授(左はPixerのCutmull): 3人ともCoons賞受賞者 |
曲面に対する Radiosity |
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EUROGRAPHICS 1993 EUROGRAPHICS 1993; Bezier曲面で構成されたシーンに対して相互反射を計算。鏡面反射成分も考慮した。Bezier Clippingを利用した。 |
Bezier Clipping法の共同開発者(Sederberg: アチーブメント賞受賞) |
Radiosityに関する西田らの論文の例 |
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PG 2007 (楽の筆頭論文):パストレーシングを基本とし、パスの再利用により高速化した相互反射の計算 Pacific Graphics 2004 (土橋筆頭の論文): 点で構成されたシーンでの相互反射の計算 EGSR 2007(岩崎の筆頭論文) CGF 09(楽 の筆頭論文); 動的に変化する天空光の分布に対応し、室内の相互反射も考慮した描画。 |
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Global IlluminationによるLight
Scattering
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粒子間の多重散乱も相互反射と等価であるが、多
重散乱の計算としては、下記もある。
・雲の粒子間の多重散乱(西田などSIGGRAPH'96) ・雪の中の粒子の多重散乱(西田など) ・多重散乱を考慮した空の色(岩崎など) ・雲と海中の粒子間の多重散乱(岩崎など2007年) ・半透明物体の表面化散乱(新谷など) |
種々の光源に対して、散乱光が重要である。 謝辞; この研究に関し、指導教授の中前教授、土橋、金田、岩崎、楽先生に感謝します。 |
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